2025年スタート!

昨年3月、父が亡くなったため、「おめでとう」は、そばにそっと置いておこうと思います。92歳の大往生でした。
やはり家族が一人でも欠けると、何やらどことはなしに、ガランとした感じになります。それは一人めの姉が嫁いでいなくなったときも、二人めの姉がいなくなったときも、同じような感覚でした。去る者の悲しさと、残された者の寂しさは、いつも同時にやってくることを身に染みて感じます。
とはいえ、新しい年はやはり気持ちがいいものです。
昨年もいろんな人権トピックスがありました。水俣病原告団との話し合い最中になされた厚労省によるマイク切り事件、長崎被爆者団体との話し合いの最後の場面での岸田首相への直訴(田中正造の天皇直訴を思い起こします)、旧優生保護法による障がい者への強制不妊訴訟の勝訴、冤罪を認めた袴田事件の勝訴、そして日本被団協のノーベル平和賞受賞。どれもが胸に迫る大きな人権問題でした。
ところが、その事実を多くの中高生たちは知らない。なぜか。新聞やテレビ、ニュースを見ないということもあると思います。これも時代といえばそうでしょう。でも、それに替わって周りの大人が伝えればいいのです。しかし問題は、学校でも聞かされないということです。なぜなら、先生が知らないからです。そんな場面を今年も何度も経験しました。「あ、知らないんだ」愕然としました。若い先生なんかは中高生と同じで新聞もテレビも見ません。見るだけの余裕がないのかもしれません。にしても、残念すぎです。
日本被団協の田中照己さんのスピーチは絶対に見るべきです。子どもたちに見せるべきです。その義務と責任が大人にはあると思います。見れば、「見せたい!」「見せておきたい!」と思うと思います。そのための修学旅行でなかったでしょうか。そのための平和学習ではなかったでしょうか。
また視点を変えると、衆議院選挙など多くの選挙演説での政治家の言葉にも力が抜けました。この夏の暑さを経験して、どうして温暖化対策がもっと大きな声としてあがってこないのかと。裏金問題も大事です。経済問題も大事です。でもその前に、無事に生きて生活できてなんぼです。そのためにも、この国で、この星で生きていけるよう、温暖化対策がまず一番に語られるべきです。
この国のあり方、教育の方向性を憂えずにはいられません。このままではいけないように思います。どんどん間違った方向へと進んでしまうのではないかといった危機を感じます。
今の私たちに何ができるのか。大きなことはできません。それでも自分の思いを発信し、同じ思いをもつ方がいるならつながり、大切に育て、道をつくっていければと思います。もしかするとその道のつづきを歩んでくれる人が出てくるかもしれません。私の憂いが間違っていれば、それはそれで構いません。むしろそうであることを祈ります。
「ここから総理大臣、またはノーベル賞受賞者を出す。」
昨年の人権こども塾冒頭で発した言葉です。冗談ではありません。本気です。大きなことの始まりは、いつもちょっとした「勘違い」からです。それが雪だるま式に大きくなった結果が、大きな偉業につながるのだと思います。そんな大いなる夢をもつ若者が、どんどん育ってくれればと思います。
とはいえ、そんな偉人が出たからといってすべてがうまく解決するかというと、そうではありません。日本被団協がノーベル平和賞を受賞したからといって、地球上の原爆が1個でもなくなったでしょうか。むしろこれからだということです。ウクライナの問題もイスラエルの問題も、いまだ解決に結びつく目途はたっていません。1/3理論で言うところの、すべての人口の1/3が、日本という国の1/3が、中高生の教室の1/3が人権・平和に本気になって、ようやくスタートラインに立つわけです。そう考えると、私たちの道のりはまだまだ遠い先です。
人権こども塾は今年で4年目を迎えることになります。さらにパワーアップする気もしますし、しぼんでしまう気もします。人権に力を入れない今の教育の現状を思うとき、関心のある中高生が育っていないと感じるからです。やはり、教育です。肝心なのは教育のあり様です。
今年のT-over人権教育研究所・人権こども塾の活動計画です。
1.「人権こども塾4期生」の募集・開催
現3期生、2024年度生の期間も残り3カ月となりました。新規4期生、2025年度生の募集を始めます。今年も異次元の中高生を育てていければと思います。
2.「人権を語り合う中学生交流集会+」30年めのフィナーレ開催
こども塾生の多くが中3生ですが、その子たちにとって、集会を見送る最後の年となります。思いのこもったフィナーレにできればと思います。
3.「鳴門市人権地域フォーラム」へのかかわり
時と場を超えた様々な立場の大人同士が、大人とこども塾生が、共に学び合うという貴重な場にしていければと思います。
4.国連NGO横浜国際人権センター月刊誌「語るかたるトーク」への寄稿
今年も、この1年の出来事やその時々の思いを記録として残していきながら、全国の多くの仲間に発信していければと思います。
5.「みんなで語り合う人権学習」の実践と啓発
私たちの基本理念です。様々な人権課題について「自分を語る」ことに、どれだけの可能性が秘められているか。新たなチャレンジに挑戦していきたいと思います。
6.「ライフ・ツーリズム」の開発と推進
瀬戸内を中心とした、人権にまつわる各所を巡る旅のネットワークを拡げていきたいと思います。みなさんも一緒に旅しませんか?
人権をベースにつながった多くの仲間と、おもしろいこと、楽しいことを共に分かち合える1年に、今年もできればと思います。立場を越えていつまでも!
本年も、どうぞよろしくお願いします。m(_ _)m
