鳴門市人権地域フォーラム2025

8月22日(金)、鳴門市役所2階で、今年度の鳴門市人権地域フォーラムが開催されました。

110席のイスが用意されていたのですが、参加者はその数を越え、追加でイスが並べられるほどの盛況でした。

まずは今回のコーディネーターであり、当研究所共同代表でもある森口さんから、昨年から今春まで繰り返し全国放送された、「ラジオ深夜便」にまつわるお話がありました。

そして今春、異動により赴任した学校での出来事。資料「峠」を学んだ生徒からの発表。親友のお孫さんとの出会い。レスリングの豊田選手から学びとった生徒の発言。「友の会」で語る中学生の言葉。

新たな赴任地で起こった出来事について報告されていきます。

パネリストの一人めである私は今回、人権を語り合う中学生交流集会運営委員会事務局としての登壇でした。したがって、30年め最後の集会がどうだったのか、パネリストを務めた3人の高校生について紹介させていただきました。

あっちゃんの献血の話につながる川崎病のお話。自分のことを語ることによって生まれる共感と連帯について話させていただきました。

あすかの個性の捉え方から死刑制度についてのお話。違う意見であっても互いにリスペクトして討議すること、「平行線で手をつなぐ」ことの重要性について話させていただきました。

みおが話してくれたヤングケアラーは昔で言うところの子守奉公や丁稚奉公であるということ。そして、「無知は恥」と発言したことについての共感や、言葉を深掘りして考えることの大切さについて話させてもらいました。

私からも、知らないことを知ったときの驚きや感動を思うと、知らないこと自体は悪ではないのではないか。人権学習は、言葉について深く考えること。そしてテレビドラマ「舟を編む」に出てきたセリフ「言葉は人とつながるためにある」を紹介させていただいて終えました。あっという間の20分でした。

パネリスト2人めの中野伸二さんは、当研究所のクルーとして登壇しました。

中野さんからは、我が子の学校のPTA会長として、地域を盛りあげるビッグイベントを実践したお話がありました。しかし、そんないいことをしているにもかかわらず、いざ部落差別の話になると、「そんなことをしても一緒ではないか」といった仲間内からの発言に、矛盾を感じることもあったと。

家族では、「狭山事件ー都市伝説ートトロ」といったつながりの会話もあるものの、人権についての対話については、楽しく上手く伝えられないもどかしさがある。その根っこにはいったい何があるのか。

とはいえ、輝くことはすごく大事。やはりイキイキすべきであり、いろんなアプローチをしている。どこかでアウトプットしていかないともったいないし、マイナスになることもあるのでこれからも頑張っていきたいとのお話でした。

パネリスト3人めの広瀬敬三さんは、中野さんの同級生として、また徳島県教育委員会人権教育課として登壇しました。

中野さんと歩んだ小中学校時代が語られていきました。そして、学年全体で語り合った部落問題学習により、自分を見つめ、生活が変わっていったそうです。認め合い、支え合うことで部活も頑張れ、教員を目指すようになっていったのだと。

「人権学習はどうしてするのか?」「差別はいけないから」というのではなく、自分の心の中にある自分と対話することを伝えてきた。仲間づくり、集団づくりの大切さを伝えてきた。

そのためにも、「自分自身を語らないと本気にはならない」し、そうすることが、これまで自分を学び育ててくれた方々への恩返しになっていくとのお話でした。

10分の休憩後、フロアからご意見をいただきました。

自分を育み自信を持たせてくれた同和教育。でも、パートナーとの結婚時に表出した部落差別。悩み苦しんだパートナー。生まれた娘もおかしいなと思っていたのではないかと思うが、まずは自分たちが幸せになること。自分より、差別意識に囚われた人の方がもっとしんどいのでは。「平行線で手をつなぐ」ことをめざしていきたい。

香川三豊でも中学生の集会をして4年になる。ある中学生が「ラジオ深夜便」を聴いて原稿を書いてきた。書くたびその内容に、成長を感じてきた。自分事にするために15回聴いたという。最後の発表は心に染み込む内容だった。

この学習は「生き方の追求」だ。差別はする側もされる側も、みんなの可能性をむしばむ。もし差別に屈していたら、今ここに自分はいない。差別に屈しなかったから存在する。イキイキと輝いて生きていきたい。

森口先生が話しに来てくれたので、今回は滋賀から来た。差別は人が作ったものだから人の思いでなくせると思ってる。中学校1学年9クラスあるなかでどのように部落問題学習を進めればいいのか。心配性で不安がいっぱいある。発表することは勇気がいる。

「先生、輝いてますか?」と、14歳のシンジさんが自分に問うた。人権教育は私の中では宗教のようなもの。自分を支えてくれるもの。母の介護で教職を離れたが復職し、今は森口先生の隣で勉強をしている。これからもアウトプットしていきたい。自分を磨いてくれる人たちがいるから、これからも頑張っていきたい。恥ずかしくない生き方をしたい。

ほかにも、鳥取から、東京から、そして森口先生の教え子さんからの発言もあり、あっという間の胸が熱くなる時間でした。

最後のパネリストからの一言で、私からは3つと1つ話させていただきました。

1.人権を語り合う中学生集会を終えた理由は、子どもも教員も、人権学習への関心がしぼんでしまったから。

2.自分のことを話さない教員が増えた。大切なことを大切にする教育・学校でないと!

3.人権こども塾を支援してくれる方々はみんな学習会で育ち、関わってきた人たち。そこにある思いをくみ取り、大切にしないと!

「言葉は距離を越え、時を越え、大切な何かとつながる役目を見事果たしてくれる」(「舟を編む」より) 30年経とうが、立場を越え、互いに越え、共に越え、時を越える。それが、T-over。

これまでもそうだったのかもしれませんが、今年は特に、参会者の目が強いと感じました。皆さんよく見てくれていました。ということは、よく聴いてくれてたということ。

その昔、中学生にしっかり聴くように、「注目!」と繰り返し言っていたときがありました。それが習慣になり、自然と人の話を目で聴くようになると、学校がよくなっていった気がします。

恐らくは、その集団が同じ方向を向くことで、全体としてよくなっていったのです。

もし、この参会者で学校を作れたなら……いい学校ができそうですね。

教え子さんとの2ショットです。

夜は夜で、参会者も、参会できなかった者も、みんなで寄って、楽しくワイワイやりました。

教え子と、教え子の子どもと、昔をふりかえり、今を語り合えることのよろこび。

いつか人権こども塾の塾生とも、そんな日が来るといいです。

各地・各人の現状や課題、それを乗り越えるためにはどうすればいいか。眉間にしわを寄せるのではなく、知恵を出し合いながら力を寄せるのです。その時間が楽しい。

いつまでも、どこでいても、それができるような学校が続くといいです。


今年も濃密ないい時間となりました。これからどうしていくかという課題はありますが、不思議と力が湧いてきたことは確かです。

残念だったのは、中高生の話が聞けなかったこと。でもそれは仕方ありませんよね。あれだけ発表が続けば、中高生が入り込む余地なんてありません。(笑)

でも、大人と中高生が思いを交換できる場なんて、ここ以外にありません。だからまた、そんな場をつくっていきましょう。

さて、人権こども塾としては、次回第10講は9月14日(日)に、徳島県教育会館で「思い出のあとさき」と題して、夏休みに開催されたイベント7本のふりかえり(報告会)を行います。行けたものも、行けなかったものも、共有したいと思います。その機会に、これからのあれこれについても話し合いましょう。

さて、今回参加した方も参加できなかった方も、「おもしろそう」と思えたなら、1年後。お会いしましょう。。。

2025人権こども塾4期第9講「鳴門市人権地域フォーラム」参加者感想