人権こども塾vol13「人形のムラ」見学

11月6日(日)、予定を変更をして30分前倒しで、13時から徳島市国府町のむつみ会館で「阿波木偶箱まわし」についてのフィールドワークをはじめました。

講師は、阿波木偶箱まわし保存会会長辻本さんです。

お正月、県内外の家々をまわった三番叟まわし。ありがたいありがたい、と手をすり合わせ、1年の穢れを祓い、福を授けるありがたい門付け芸。最盛期は200人を越えていた人形まわしも、戦後、そして高度経済成長や、人々の賤視によって、途絶えかけ寸前でした。

その箱まわしを継承し、引き継いだ、中内さんと南さん。今やお正月時には、元日夜明け前から10キロを超える人形を入れた箱を担ぎ、家々を歩いてまわるといいます。雪道のなか、2ヶ月間で1000件を越える家を訪ね歩く「阿波木偶箱まわし」。そんな歴史を聞かせてくれました。

2階に移動して、各部屋に所狭しと展示されている貴重な資料の数々。どれも、眼を引きつけられるものばかりでした。そこには、雑誌「オールロマンス」や、島崎藤村の小説「破戒」も。

かつて学習会として勉強を行っていた部屋の名残が、そこここに感じられ、ノスタルジックな気分になります。

奥の広い部屋は、昭和や大正、明治時代に使われていた懐かしい品々であふれていました。パッと見ただけでは分からない、生活用品。辻本さんからの質問に答える、平成の子どもたち。そのとんちんかんなやりとりが、聞いていて楽しく面白かったです。

なおかつそこに、昔の人々の知恵の深さを感じます。様々な知恵を引き継ぎながら、今の私たちへとつながっていることを実感します。これからの時代、そこに「人権」の視点を組み込んでいくのは、これからを生きる若者たちです。

少し離れた神社の参道に移動して、フィールドワーク(実地研修)を行いました。

その昔、働き手が留守にする間、家でいたのは高齢者と小さな子ども。その子どもたちが遊んでいて、近くの川や用水路で水に流されて命を落としたといいます。

そんな生活環境を何とか改善しようと、憲法にもとづいた保育所の建設運動を起こします。まだまだ県内にも保育所が無かった頃のことです。それから少しずつ、県内にも保育所が普及していったそうです。

そんな歴史ある保育所が、昨今は少子化による統合で、廃止に追い込まれていきます。そんな窮状を見かね、辻本さんたちは、保育所を買い取る決断をします。買い取って、人形の施設として改装することを考えるのです。

しかし、買い取るのにも、リフォームするのにも、お金がかかります。ましてや、人形を収集するのにもお金がかかります。そんな困難を、自前で汗をかいたり、たくさんの人々の支援を受けたりしながら、2022年3月3日「人形のムラ」開館にこぎつけたのです。

そしていよいよ「人形のムラ」に。

真新しい木の香りがする元保育所に足を踏み入れると、そこにはきらびやかに、整然と並び立てられた数々の人形。思わず歩み寄り、目を奪われるメンバー。

程なくして辻本さんから、それぞれの人形にまつわるお話しを聞きます。

からくり人形の仕組みや、人形がたどった歴史、その現在地。

「撮影禁止」のため、ここには写真で紹介できませんが、無数に収められた世界的にも貴重なたっくさんの人形資料室。

もう二度と流されることのない、決して失われることのない人形に込められた魂が、おしゃべりをしているかのようでした。

最後に全員で記念写真を撮りました。

毎回思うことかもしれませんが、出会うことの大切さ、出会わせることの大切さを感じます。

もし、こんな出会いや活動が学校でもできたなら、と思うのですが、それはなかなか難しいことなのかもしれません。だからこそ、やっぱり大事な活動をしているなと思います。

この活動を通して、学校でも、新しい進路先でも、社会に出ても、人権とつながり続けられる存在でいてもらえたらと思います。

次回は11月27日(日)13:30~16:30に、徳島県教育会館で開催します。

ミステリーツアー第3弾!「在日問題・ヘイトスピーチ」と題して、在日問題、徳島で起きたヘイトスピーチについて学びます。

楽しみに来てください!