3期第16講「石川一雄さん追悼・3期生卒業式・2024年度閉講式」

3月20日(木祝)、人権こども塾第16講として、「石川一雄さん追悼・3期生卒業式・2024年度閉講式」を、徳島県教育会館で開催しました。

その前段として、午前から映画「橋のない川」を7人で視聴しました。住井すゑさんが書かれた同名小説をもとに、30年ほど前に制作された映画です。解放令が出されて以降、部落差別がどうなっていったのか、時代背景をもとに水平社創立までを描いた作品です。

これまで何度も観た作品なのに、やっぱり同じ場面で同じように、全身の毛が逆立つような激しい怒りを覚えます。こんな思いをしながら生きてきたんだ、と思うと、当時の人々に大いなる敬意を感じずにはいられません。ぜひ今の中高生にも見てもらいたい映画です。

他にも中高生に見てもらいたい映画はたくさんあって、そのDVDも見てもらいました。自分が担任をしていた頃はできるだけたくさん見せていたものですが、最近そんな風潮は見られません。残念なことです。

見終えて昼食のお弁当を食べていると、次から次へと塾生が来室します。

塾生14人(体験参加含む)と大人7人でのスタート。

まずは、「狭山事件・石川一雄さん追悼」。この日は、埼玉で行われている一雄さんの告別式と同じ日となりました。

1分間の黙祷。

昨年5月に現地調査したときの写真を見てもらいながら、狭山事件について学び直しをします。そして、狭山の学習ではいつも講師をしてもらっている中山さんから、あらためて一雄さんへの思いを語ってもらいました。思いが溢れて詰まる言葉が、聞く私たちの胸を締めつけ、目頭が熱くなります。

続いて、共同代表である私からのはなむけのお話。人権学習は1年間ではやり切れないということ。3年間でもやり切れないということ。人権文化の定着の必要性。その「人権文化」とは? 人権教育への抵抗。人権学習での重要なワード「搾取」。搾取による金社会が生み出す、生活環境の悪化、戦争、差別。そういった世の中の仕組みを守ろうとする勢力、鉄の三角形・五角形、「本当に怖いもの」。。。

20分ではしゃべり切れない内容になってしまい、予定通り(?)不完全燃焼となってしまいました。

そして、同じく共同代表である森口からのはなむけのお話。今は何と言っても、NHK羽深未奈乃アナウンサーとの出会いから生まれた、NHKラジオ「人権インタビュー」にまつわるお話。同アナウンサーによる「スダチの苗木」の朗読。放送を聴いた方が自主制作された楽曲「スダチの苗木」の披露。最後に、人権学習で成長した自分を語る、松茂中学生の動画。。。

これまた20分では語り切れない内容となりました。

考えてみれば、これまで「森口健司」は人権教育の世界の中では全国に広まりましたが、今回のようなラジオの全国放送となれば、その世界を大きく超えます。北海道の北の端から、沖縄の南の端まで、年代を問わずどんな人でも聴いていた可能性があるわけです。これは本当にすごいことです。

いったん休憩のあと、3期生認定証の贈呈。

そして、記念色紙への寄せ書きタイム。。。

ラスト60分となったところで、最後の「Talk over」。

Aさん:「選択的夫婦別性」が実現できていないことの驚き。しかし初めの一人が動き出さないと動き出すことがないことは、「橋のない川」の米騒動の場面ともつながる。だから、動き出すことは大事。

Nさん:もっともっといろんなことを知りたいと思った。まだまだ。これからも自分と向き合って、自分の進路を見つけていきたい。

KさんとKさん:自分の夢が見つけられずに困っていたこと。これまでは、自分の将来を背負えるのか、とやる前から諦めてる自分がいた。そんな自分を見つめ直し、自分の考えを一つ決めたい。

Oさん:たまにしか会わない親戚の人に会ってもどういうつながりの誰だか分からないし、話を聞いても分からない。けど、自分が聞いておかなければこの先それを語り継ぐ者はいないかもしれない。みんなの心の中から忘れられていくことが、本当の「死」であるならば、「言葉のバトンをつないでいくリレー」には大きな意味があると思う。ハンセン病も石川さんのことも、語り継いでいく必要があると思う。

Sさん:中学2年のときは30日以上の欠席をしていた。けど人権こども塾に参加するようになって学校にも行けるようになった。それもあって、入試書類を、アドバイスをもらいながら立派に書くことができた。次年度も参加して頑張っていきたい。

Fさん:高校受験に合格できた。自分よりもお母さんが先に結果発表を見て号泣していた。先輩のいる高校に合格できて、とてもうれしい。

Oさん:祖父母が部落出身ということを、最近になって母親から初めて聞いた。衝撃だった。そのことを先生にも相談したけど、自分のことを語るということは、メンタル面でもすごく大切なことだと思う。次年度入塾して頑張っていきたい。

Kさん:はじめ人権に興味はなかったが、それでもたくさんのことを学んだ。狭山事件やハンセン病にも関心をもち、ここで意味あるものと実感できた。学んだことをこれから広げていきたい。

Iさん:中1の頃は頑張れていたけど、中3は頑張り切れなかった。今回で塾は終わるけど、人権の学習はまだまだなので、これからは自分で勉強していきたい。

このあと、参加した大人からもメッセージをいただき、最後に私から2つ付け加えました。

その1「こんな場は県内他には絶対ない。この活動に自信と誇りをもっていい」

その2「進学した高校の話が何度も出たが、「35年目のラブレター」の主人公も、石川一雄さんも、小学校の途中までしか行けていない。果たして二人は不幸せだったのか。どこに入ったか、どこを出たかではなく、ましてや他人が人の幸せ・不幸せを決めるものではなく、自分が納得のいく生き方をしているかどうか。自分の幸せを決めるのは、いつも自分自身」

そして最後に、去年できなかった全員での集合写真。

みんないい笑顔です。去る者あり、残る者あり。けど、いずれにしても、みんなのなかに残り続けていくものがあると信じたいと思います。それだけのインパクトをもった活動ができたと、自負します。

最後の「Talk over」。ドラマを見た思いがしました。塾生それぞれの「生きたストーリー」が表出していていました。日頃から感じている生活の悩みと自分の生き方について。進路決定について揺れてきた思いと合格を勝ちとった成功体験について。不登校の苦悩とそれからの脱却について。自らのルーツと自分の進むべき道について。。。物語の一つ一つに熱を感じ、心がほだされます。やはり大事なのは、本当の思いを語り合い、共感する関係性です。

人権について学ぶこと、それは本当に大切で大きなことだと思います。特に、知識もですが、感性を豊かにすることの大切さ。そのことを、いろんなところに出向き、人と出会い、それぞれの感性で感じることで豊かにしてきたのではないかと思います。それはなかなかしたくてもできないこと。そしてその豊かになった感性が、これからの学びへの意欲につながっていくのだと思います。私たちが求めているのは、そんな学びの道程です。

この日が、ある意味、私にとって「1年の終わり」でした。そのことをしみじみ感じながら、夕焼け空を眺めました。

次年度、どんなメンバーでどんな物語を紡ぐのかは分かりません。が、おそらくまた、ステキな、思いの詰まった時間が待ち受けているのだと思います。今からそれが楽しみです。

今年度、様々な方面から支援していただいた方々、本当にありがとうございました。そしてその舞台を思う存分駆け抜けていった中高生の皆さん、皆さんは私たちの誇りです。1年間、本当にありがとうございました。。。

翌日の徳島新聞。ありがとうございました。一雄さん、待っててくださいね。