4期第17講「4期生卒業式・2025年度閉講式」

3月20日(金祝)13:30から人権こども塾第17講として、徳島県教育会館で「2025年度閉講式・4期生卒業式」を行いました。

今回はその前段として、昨年NHK大阪放送局で放映された「誇りうるもの 部落問題の100年」を4人で視聴しました。これまで大阪放送局が取り組み、放送してきた部落問題が網羅されているのですが、その内容が広範で内容が濃い。しかも歴史的に本当に貴重な証言が残されていて、意義深いと思います。

そして今の子たちに、「今、部落問題はどうなっていて、これからどんな視点を持てばいいのか」といった、「今・ここ」の視点が、最後にメッセージとして編成されているところに、肝があるなと思います。ぜひ多くの中高生に観てもらいたい番組です。

時間が来て、いよいよ今年度最後の人権こども塾がスタート。塾生11人と大人7人でのスタートとなりました。

各自の自己紹介のあと、私と森口先生からはなむけの話。

私からは、開講式のときにした話のおさらいにはじまり、一時の人権学習ではダメだということ。人権か、勉強か、ではないということ。金最優先の社会に偏りすぎてはいないかということ。人権とは「生命と幸せ」を大切にするということ。学活の時間の重要性。「くだらない4」。どこに入ったか、どこを出たかではなく、人と比べるのでもなく、自分がどう生きるのかということ。ない道はつくれ!そして、「光を失わない人に」なろうと話をして終わりました。

森口先生からは、前回での感動的な語り合いや鳴門フォーラムでのクルーの語りを例に挙げ、「それが人権学習だ」と示されました。そしてこの1年の、母校での取り組みについて。ラジオ放送された「人権インタビュー」は、まるでこのときのための伏線であったのではないか、と思えるくらい渾身の思いを込めて取り組んできた部落問題学習について語られました。特に、子どもたちが語り続けることで大きく変容していく様を、生の音声・映像を通して感じられたことは、大きな刺激でした。やはり、教師が本気でやるかどうかです。そこにかかっているのだと思います。

2人で30分も時間オーバーし、休憩のあと、4期生「認定証」の贈呈式と記念色紙寄せ書きタイム!

今期は3人のうち2人が欠席となり、1人だけの贈呈式となってしまいました。でもそのぶん?人権こども塾創立当初から、1期生としてこの4年間、ずっと当塾を支え続けてきたKくんの「卒業認定証」贈呈式を行いました。

いろんな偶然や奇跡的な出会い、つながりのなかで、今、ここにいることの不思議さを、感謝の気持ちを込めて、「ありがとう」の言葉とともに贈りました。こんな高校生がいるなら、学校は、世の中はもっと変えられるかもしれない。私が30年前に感じた思いを、今あらためて感じることができたような気がします。

そして、最後の「Talk over」…の前に!クルーのヒロミさんからのサプライズプレゼント!

Kくんへの手作り花束。そして全員に感謝の思いを込めて、お菓子の詰め合わせとメッセージカード!手間暇をかけてたくさん作る、この思い。こんな大きくて大切な学びが、他にどこにあるでしょう。学校の勉強より大事!そして心にも残る!そうやって、思いは思いとして受け継がれ、人を大切にする文化はつながっていくのだと思います。これぞまさに、生きた人権学習!

そしてそして、最後の「Talk over」。。。

この春高校合格を勝ちとった中3生への「友達をつくろう!」メッセージが多かったように思います。それに応えて、「おかげで面接ができた」、「今年はヒロシマに行きたい」といった、嬉しい実りが感じられる応答も。

ほかにも高校生からは、「成績が上がった」「勉強をするようになった」とか、次の学年に向けて、「文化祭出場!」や「国公立大学めざしたい!」とか……

「部活に入るといい。先輩とのつながりもできる。またそこから、ここに入塾勧誘もできた。ここに来られてよかった。話を聴くこともだけど、話す勇気も生まれた。それがなければ今の私はなかった。話すことは楽しいかも、と思えた。感謝しかない。人の気持ちが理解できるように、人に対してやさしくなれるようになりたい」

「高3は大変。受験生はイヤ。ここにも来られなくなる。放美展で受賞したいけど、書道がキライになって辛い。スキなことがキライになることは辛い。4時間かけて書いた作品に30分で赤ペンが入る。きれい字が書けないことは葛藤。このままでいいのかと不安や心配になる。それでもみんな頑張ってるから頑張ろうと思える」

最後に、Kくんがみんなの前に歩み出て最後の言葉

「マイノリティは孤高。それは誇り高いこと。マイノリティは個性であり誇り高いこと。自分の歩いた道を信じ、負けないでほしい。中学生集会を起点に来るようになったけど、高校に入って壁の高さを感じた。それはどうしようもなく、不安な高校生活だった。今は、徳島から出たくないと思ってる。いろんな思い出ができ、見る町の風景を眺め、寂しい気持ちが募ってきた。苦しい思いもしてきて、生きる意味や生きる価値があるのかと思ったこともあったけど、今は、このためになら死んでもいいと思えてる。高校大学は過程の一つでまだまだ道の途中。生きてることが肯定できた。諦めないでいてよかった。行きたくないけど、前に進まなくてはいけない。生きるって楽しい。死んではいられない。自分の信じる道を信じたらそれでいい」

もうここには書ききれません。

高校を卒業して、生まれ育った地を離れる心境。私も思い出しました。いつまでも忘れてほしくない、大切な大切な感情です。

閉講式を無事に終え、今年は初の試みとして、会場を変え、送別会を開催しました。もちろん主役は、高校を卒業し県外大学に進学するKくん。

料理を注文し、食事をしながら、デザートを食べながら、他人のパンケーキに手を伸ばしながら、Kくんに記念品を贈呈。

ついでにサプライズで私にも退職の記念品。みんな、ありがとう。本当に本当にありがとう。こんなことをしてもらえる当てがなくなってる今、これが唯一の、子どもたちからいただく記念品となりました。大切に毎日使います。

最後にみんなからKくんに、一輪挿しの贈呈。それぞれなりに、加えて言葉を贈ったり、手紙を贈ったり、笑顔を贈ったり。本当に気持ちのいい、素敵な春になりました。

若い頃なら毎年のようにあった光景ですが、今はもうこんな場面と出会うことはなくなりました。だけど、ここにはそれがあって、いつまでも子どものままで、若い気持ちで居続けさせてくれます。それはいつまでも成長していないだけなのかもしれませんが、つまらない大人になるくらいなら、私はこのままがいいです。

Kくん、素敵な時間をありがとう。

今年度も様々な方々が、たくさんの支援をしてくださいました。本当にありがとうございました。この場を通じてお礼を述べさせていただきます。

こんなふうにして、今年度の人権こども塾は終わりました。

これは出会うはずのなかった極めて特異な集団。でも、極めて素敵な集団。どこに出したって恥ずかしくありません。むしろ、誇りをもってどこにでも送り出せます。

子どもがいなくても、我が子が巣立っても、目前の子どもがいなくなっても、先生でなくなっても、ここには立場を越え、年齢を越え、徳島を越えてもつながりあえる場があります。

じっくり語り合うこと。「Talk over」 それが、私たちT-over。